外出先でスマートフォンのバッテリーが切れそうな時、手元にあるのは2台のモバイルバッテリーだけ。そんな状況で「片方のモバイルバッテリーからもう片方へ充電したい」と考えたことはありませんか。しかし、いざUSB-Cケーブルで繋いでみると、充電したいはずの側から給電されてしまったり、全く反応しなかったりと、意図しない挙動に悩まされることが少なくありません。
近年のモバイルバッテリー、特にUSB Power Delivery(USB PD)に対応したモデルは、一つの端子で給電と受電の両方を行える「双方向充電」に対応しています。この便利さが仇となり、デバイス同士がどちらが親(給電側)でどちらが子(受電側)になるかを正しく認識できない、いわゆる逆流現象や認識エラーが発生するのです。
本記事では、モバイルバッテリー同士の充電方向が決まる仕組みから、トラブル時の対処法、さらにはAnker製品などの主要メーカーにおける具体的な操作方法までを徹底的に解説します。この記事を読めば、モバイルバッテリーの2台持ち運用で二度と迷うことはなくなります。
記事のポイント4つ
- 充電方向が決まる仕組み:USB PDのDRP(Dual Role Power)機能がどのように給電・受電を判定しているかを理解する。
- 正しい接続の順番:どちらのデバイスに先にケーブルを挿すか、あるいはボタン操作を併用するかという具体的な手順。
- Anker製品特有の挙動:LEDランプの点滅パターンから現在のステータスを読み解き、充電が始まらない・終わらない問題を解決する。
- ケーブルの重要性:eMarkerの有無やケーブルの仕様が、モバイルバッテリー同士の通信に与える影響を知る。
モバイルバッテリー同士の充電方向が決まる仕組みと正しい接続方法

モバイルバッテリーを2台繋いだ際、どちらからどちらへ電力が流れるかは、単なる運ではありません。そこにはUSB-C規格で定められた厳密な通信プロトコルが存在します。まずは基本となる充電方法から、バッテリー同士を繋ぐ際の特殊なルールについて見ていきましょう。
基本を知る:モバイルバッテリーを充電する方法と給電の優先度
通常、モバイルバッテリーを充電する方法は非常にシンプルです。壁のコンセントにACアダプターを差し込み、そこからUSBケーブルを介してモバイルバッテリーの入力ポートに接続します。この場合、ACアダプターは常に「給電専用(プロバイダー)」であり、モバイルバッテリーは「受電専用(コンシューマー)」として振る舞うため、方向が逆転することはありません。
しかし、モバイルバッテリー同士をUSB-Cケーブルで接続する場合、話は複雑になります。多くのUSB-Cポートは「DRP(Dual Role Power)」という、状況に応じて給電側にも受電側にもなれる機能を備えているからです。
接続された瞬間、2つのバッテリーはCC(Configuration Channel)ラインを通じて以下のような交渉を行います。
- どちらが電源を供給できるか(ソース能力の提示)
- どちらが電力を欲しているか(シンク要求)
- 電圧と電流の組み合わせ(PDO:Power Data Objects)の合意
この交渉において、バッテリー残量が極端に少ない方が受電側になりやすい、あるいは内部の優先順位設定(Try.SRCやTry.SNKといったオプション機能)が高い方が給電側になるといった力学が働きます。
接続の鍵!モバイルバッテリーを充電するケーブルの選び方
モバイルバッテリー同士を繋ぐ際に軽視されがちなのが、モバイルバッテリーを充電するケーブルの種類です。USB-Cケーブルには、単に電力を流すだけでなく、内部にICチップ(eMarker)を搭載しているものがあります。
100Wや240Wといった高出力に対応したケーブルには必ずeMarkerが搭載されており、これがデバイス間の通信を仲介します。モバイルバッテリー同士を接続する場合、このチップが介在することで通信がより厳密になり、逆に「どちらが親になるか」の判定がシビアになることがあります。
逆に、安価なデータ転送非対応の充電専用ケーブルや、eMarker非搭載のケーブルを使用すると、PD通信が正しく行われず、5V/0.5Aといった極めて低速な充電しかできなかったり、そもそも充電が開始されなかったりするトラブルの原因になります。
以下の表は、ケーブルの種類による挙動の違いをまとめたものです。
| ケーブルの種類 | eMarkerの有無 | 特徴 | モバイルバッテリー同士の接続 |
| USB 2.0 (60W) | 無し | 一般的な安価なケーブル | 方向が不安定になりやすい |
| USB 3.2 (100W) | 有り | 高出力対応・太い | 通信が安定するが相性が出ることもある |
| Thunderbolt 4 | 有り | 超高速データ転送対応 | オーバースペックだが通信は正確 |
結論として、モバイルバッテリー同士を充電する際は、信頼できるメーカーのUSB PD対応60W〜100Wケーブルを使用し、かつ「給電したい側」に先にケーブルを差し込むのが最も安定する方法です。
Anker #モバイルバッテリー 充電方法:2台繋ぎで失敗しないコツ
世界的なシェアを誇るAnker製品においても、モバイルバッテリー同士の充電は公式に「推奨される使い方」ではないものの、特定の操作を行うことで制御が可能です。Anker #モバイルバッテリー 充電方法として知っておくべきは、独自のPowerIQ技術と低電流モードの活用です。
Anker製の多くのモデルには、本体側面にボタンが配置されています。これを1回押すことで、デバイスに対して「自分は今から給電を開始する準備ができた」という信号を送ることができます。
2台のAnker製バッテリーを繋いで意図しない方向に電力が流れた場合は、以下の手順を試してください。
- 一度ケーブルを両方から抜く。
- 給電したい側(親にしたい方)のボタンを1回押す。
- 給電したい側にケーブルを挿す。
- 受電したい側にケーブルを挿す。
この順番を守ることで、親デバイスが「ソース(供給者)」として先に名乗りを上げるため、充電方向が安定しやすくなります。
また、小型のイヤホンなどを充電するための「低電流モード」を搭載しているモデル(ボタンを2回押し、あるいは長押しでLEDが緑色に点灯するタイプ)の場合、受電側をこのモードにすることで挙動が変わることもあります。ただし、これは本来の用途ではないため、まずは接続順序の徹底から始めるのがセオリーです。
アンカー・ジャパン公式サイトのサポートページでも、充電が不安定な際の抜き差しやケーブル変更が推奨されています。
参考:Anker Japan公式サイト サポート(https://www.ankerjapan.com/)
モバイルバッテリー同士で充電できない・点滅が終わらない時の対処法

実際にモバイルバッテリー同士を接続してみたものの、うまく充電が進まない、あるいは表示がおかしいというケースは多々あります。ここでは、ユーザーから報告の多いトラブルとその解決策を深掘りします。
Ankerモバイルバッテリー ランプ 意味:点灯パターンから状態を判別
トラブル解決の第一歩は、デバイスが発信しているサインを正しく読み取ることです。Ankerモバイルバッテリー ランプ 意味を知ることで、内部で何が起きているかを推測できます。
一般的なAnker製品のLEDパターンは以下の通りです。
- 1つ目のLEDが白く点滅:本体の充電が開始されている(受電中)。
- LEDが順番に点灯していく:残量が増えている。
- LEDが全点灯:満充電。
- 1つ目のLEDが緑色に点灯:低電流モードがオンになっている。
- 全てのLEDが高速で点滅:異常検知(過電流、過電圧、または認識エラー)。
モバイルバッテリー同士を繋いだ際に「全点滅」が発生した場合は、互いの給電能力がぶつかり合っているか、出力が足りずに保護回路が働いたことを意味します。この状態では充電は行われません。
故障?Ankerモバイルバッテリー 充電中 点滅 しない・できない時の確認
ケーブルを繋いでもAnkerモバイルバッテリー 充電中 点滅 しない場合、以下の3つの可能性を検討してください。
- 電圧の不一致モバイルバッテリー同士にも「格」があります。例えば、最大出力12Wの古いバッテリーから、PD 65W入力を要求する最新の大容量バッテリーに充電しようとしても、電圧が足りずに受電側が拒否することがあります。この場合、インジケーターは無反応になります。
- ケーブルの接触不良または断線USB-Cポートは微細なピンが並んでいるため、埃や汚れが付着しているだけでPD通信が失敗します。接点を清掃するか、別のケーブルで試してください。
- スリープ状態一部のバッテリーは、ケーブルを挿しただけでは起動しないことがあります。必ずボタンを押して、インジケーターが点灯した状態で接続を開始してください。
特に「点滅しない」という状況は、電力が1Wも流れていないことを示しています。USB-Cの仕様上、微弱な電流でも流れていれば何らかの反応があるはずなので、全くの無反応であれば物理的な接続やデバイスの相性を疑うべきです。
解決策:Ankerモバイルバッテリー 充電 できない 点滅や異常への対策
もしAnkerモバイルバッテリー 充電 できない 点滅(特に異常な点滅)が続く場合は、デバイスのリセットを試みるのが有効です。
多くのモバイルバッテリーは、本体を充電しながら自分自身の出力ポートにケーブルを差し込むような「ループ接続」をすると、内部回路を保護するために一時的に動作を停止します。モバイルバッテリー同士を繋ぐ際にも、誤った認識によってこの保護状態に入ることがあります。
リセット手順の例:
- 本体を壁のコンセント(ACアダプター)に接続し、数秒間充電を行う。これにより内部の保護フラグがクリアされることが多いです。
- ボタンを10秒以上長押しする(モデルによりますが、これで内部制御が再起動するものがあります)。
また、モバイルバッテリー同士の相性問題(特に双方がDRP対応の場合)は、間に「USBハブ」や「スイッチ付きの延長ケーブル」を挟むことで改善される場合もありますが、これは電力ロスが大きくなるため、最終手段と考えてください。
終わらない悩み:Anker モバイルバッテリー充電 終わらない原因
「充電は始まっているようだが、いつまで経っても終わらない。最後の一目盛りが点滅したまま」という現象もよく聞かれます。Anker モバイルバッテリー充電 終わらない原因には、モバイルバッテリー特有のエネルギー効率が関係しています。
モバイルバッテリーの充電効率(変換効率)は、一般的に60%〜70%程度と言われています。内部のバッテリーセル(3.7V)からUSB出力(5V/9V/20Vなど)に昇圧し、受電側で再びセルの電圧に降圧するというプロセスを経るため、大きな電力ロスが発生し、熱として逃げてしまいます。
もし、容量10,000mAhのバッテリーAから、同じく10,000mAhの空のバッテリーBに充電しようとしても、理論上Bが満充電になることはありません。Aが空になった時点で、Bは6,000〜7,000mAh程度までしか回復しないのです。
さらに、満充電に近づくほど「トリクル充電」となり電流値が下がります。モバイルバッテリー同士だと、この微弱な電流を維持できずに途中で給電が止まったり、逆に給電側が「まだ充電が終わっていない」と判断して放電し続け、結果として両方の残量がジリ貧になるというループに陥ります。
充電が90%程度まで進んで点滅が続いているなら、そこで切り上げるのが賢明です。
まとめ:モバイルバッテリー同士の充電方向で迷わないために
モバイルバッテリー同士の充電は、物理的には可能ですが、USB-C規格の複雑さゆえに「方向」を制御するにはコツが必要です。
今回の内容をまとめると以下の通りです。
- 接続前に給電側のボタンを押して「親」を明確にする。
- 給電側に先にケーブルを挿し、次に受電側に挿す。
- LEDの点滅パターンを観察し、異常点滅が出たらすぐに抜き差ししてリセットする。
- 変換効率のロスを考慮し、満充電に固執せず必要な分だけ移す。
モバイルバッテリー同士の充電は、あくまで緊急避難的な手段です。日常的には、それぞれのバッテリーを個別にACアダプターから充電するのが、バッテリーの寿命を延ばし、最も効率よくエネルギーを管理する方法です。しかし、どうしてもという時には、今回紹介した手順とAnker製品の仕様を思い出し、賢く電力管理を行ってください。
次回の外出時には、使用するケーブルがPD対応の信頼できるものか、今一度チェックしてみることをおすすめします。
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